削孔検層データ分析
トンネル切羽の削孔検層で記録される穿孔エネルギーを、傾向線と 3D 座標に整えるツールです。ブラウザの中だけで動き、データは端末から出ません。
システム概要
トンネルの切羽で削孔を行うと、穿孔エネルギーが機械のロガーに記録されます。これは切羽より前方の地山条件を推定する手がかりになりますが、ロガーの CSV は 1 本で数千行あり、スパイク状のノイズを含み、測点から座標への読み替えも要ります。受託している解析でこの整理を繰り返してきたため、読み込みから傾向線の抽出、3D 座標化までを一続きにした道具として作成したものです。
解析そのものを置き換えるものではありません。傾向線から地山をどう読むか、どの区間に注意するかの判断は、これまでどおり技術者が行います。
実際の画面
「サンプルデータを読み込む」を押すと、L・M・R の合成データが入った状態で始まり、読み込みから VTK の保存までを一続きに試せます。
できること
- 1読み込み穿孔データロガーの CSV を、L(左)・M(天端)・R(右)の 3 方向まとめてドロップします。文字コード(Shift-JIS / UTF-8)とヘッダー行は自動で判定し、側はファイル名の _L・_M・_R から決めます。判定が外れたときは表で直せます。
- 2切り出しと長さ補正必要な深度範囲だけを切り出したり、ロガーの穿孔長を実際の削孔長に合わせて伸縮したりできます。どちらも省略できます。範囲を動かすと図のハイライトと点数がその場で追従します。
- 3ノイズ除去LOWESS(局所重み付き回帰)で穿孔エネルギーの傾向線を求めます。平滑化の度合い(frac)と外れ値を落とす反復回数(it)は画面で変えられ、変えた後は再実行が必要なことを画面が知らせます。傾向線付きの CSV を側ごとに保存できます。
- 4間引き傾向線を等間隔の深度グリッド(既定 2 cm)に線形補間で載せ替えます。側ごとの CSV と、3 方向を横に並べた結合 CSV を保存できます。
- 53D 座標と VTK測点と現場設定(基準測点の座標・掘進方向角・標高)から L・M・R の平面座標を求め、穿孔長に沿って 3D の点列にします。平面配置をエネルギーの色分けで確かめてから、ParaView 用の VTK と 3D 座標 CSV を保存します。
根拠と仕組み
- 平滑化の方法
- LOWESS(Cleveland, 1979)です。各点の近傍にある一定割合の点に距離で重みを付けて一次回帰を行い、残差の大きい点の重みを下げる反復を重ねます。統計パッケージ statsmodels の実装と同じ入力を与えて、結果が一致することを確認しています。
- 座標の計算
- 基準測点の平面座標と掘進方向角から、坑口からの距離の差だけ進めた位置に各孔の開始点を置き、穿孔長に沿って点を並べます。天端(M)の開始点は左右(L・R)の中点に置きます。前身のツールが進行表の表計算式として持っていた手順を、そのまま引き継いだものです。
- 現場の値
- 基準測点・座標・標高はツールの中に持っていません。現場ごとに利用者が「現場設定」に入力し、お使いの端末のブラウザにだけ保存されます。JSON に書き出して別の端末や次の現場に持ち回れます。
- 検証
- 読み込み・LOWESS・間引き・座標・VTK の計算には単体テストを置き、同じ入力からは同じ出力が得られることを確認しています。
- 人が判断する範囲
- ツールが出すのは傾向線と座標までです。傾向線のどこを地山の変化と読むか、どの区間を注意区間とみなすかは、ツールは判定しません。
使える条件と範囲
- 対象
- トンネルの切羽で行う削孔検層(穿孔探査)の記録。穿孔エネルギーを穿孔長に対して整理し、切羽前方の地山の傾向を見るための前処理。
- 入力
- 穿孔データロガーが出力する CSV(穿孔長と穿孔エネルギーの列があるもの)。お持ちでなくても、「サンプルデータを読み込む」で合成データを使って一通り試せます。
- 出力
- 傾向線付きの CSV、間引き後の CSV、ParaView で読める VTK と 3D 座標 CSV。いずれも Shift-JIS で、既存の帳票や解析の入力にそのまま渡せます。
- 使える人
- どなたでも。登録は要りません。
- いまの状態
- 公開中(どなたでも)
- データの扱い
- 読み込んだファイルと計算結果はブラウザの中だけで処理し、外部には送りません。送る仕組みそのものがありません。現場設定はお使いの端末のブラウザにだけ保存されます。
ご相談
ツールはそのままお使いいただけます。傾向線から切羽前方の地山をどう読むか、どの区間に注意すべきかは、解析としてご相談ください。ロガーの CSV をお送りいただくところから、数値解析への受け渡しまでお引き受けします。